私はドアをたたいた。
「はい」
将さんの透き通るような声がした。
「えっと・・影山です」
そんな声に少しドキリとしながらも自分の名前を言う。
「はいりなよ。廊下、寒いでしょ?」
優しい声・・・
なんて入りやすいんだろう。
「し・・・失礼します」
私は静かに部屋にはいった。
「なんの用?樹菜ちゃん」
私の目の前に飛び込んだのは、黒ぶちの眼鏡をかけた将さん。
ギャップに驚く私。
「えっと・・・その」
私は言葉につまった。なんて言えばいいんだろう・・・・?
す・・・素直に言えばいいか
「将さんもすぐにおもちゃできますよ!」
私は両手でガッツポーズをしながらいった。
なるべく笑顔をつくった。
我ながら超直球。
嫌味におもわれないかなっと思いつつ、返事をまつ。
将さんが口をひらく。
「ありがとう」
そういった。そして将さんは笑った。
ちょっと驚いた。
『同情しないでよ』
とか、そういう言葉が返ってくるかと思ったからだ。
「じゃあね。樹菜ちゃん。わざわざありがとう」
また微笑みなおす将さん。
「っはい。お忙しいところ・・・申し訳ないいです・・・」
私は少し動揺しながらも頭を軽くさげた。
「気にしないで大丈夫だよ」
そう優しい言葉を聞いて将さんの部屋を出た。


