聖・・・ゴメン。


ダメなの。



将さんじゃなきゃ・・・ダメなの。


「ごめん・・・」


私は声を振り絞った。


抱きしめる力が強くなった。



「放したくねぇ・・・」



今にも泣きそうな自分。


声をだしたら嗚咽混じりに泣いちゃいそうで、黙ることしかできない。


「将が好きなんだろ?


俺は諦めないから。

いくらででも追っかける。


覚悟しとけ」



聖が不敵な笑みを浮かべた気がした。



聖は私を放した。



解放されたと思ったら、聖に肩をつかまれ、聖の方をむかされた。


肩にある聖の手は放れそうにない。



聖が肩を掴んで顔を近づけてきた。


え・・・ええっ?


どんどん近付く唇。



やばい・・・逃げらんないよ・・・




私はギュッと目をつぶった。




数秒間の沈黙。




唇は・・・触れて来ない。



片目を恐る恐る開けた。



私の目に飛び込んできたきたのはニヤリと笑った聖。


「しねぇよ」


そしてククッと笑った。