「樹菜・・・ちゃん」
将さんが言う。
私を気にかけている声だ。
将さんに心配かけたくない、そう思って口をひらく。喋らなきゃやってけない。
「あはっ・・・私・・・あの家から出入り禁止にされそうだなぁ・・・。」
私は声色をなんとか明るくし、おどけて見せた。
本当は今でた自分の言葉にビクビクしてるのに。
私がなんとか笑顔をつくっている。
そうしていると―――私の冷たい肌に何か覆いかぶさった。
温かい、将さんという人が。
胸が爆発するんじゃないかってくらい、心臓の動きが速い。
そうしていると、将さんの柔らかい声が私の耳をくすぐる。
「そんなの俺がさせないよ。
樹菜ちゃんと一緒にいたいから・・・。
俺、だから、色々頑張る。」
将さんの声はなんとなくかわいかった。
そして私はコクコクと頷いた。
絶対、将さんについてく。
絶対、将さんを裏切らない。信じてく。


