「…そんな怯えんなよ」

 優しい落ち着いた声は
 聞き覚えがあった

 「…………珪」

 珪はベッドの側の椅子に
 腰を下ろした

 私の手を珪の大きな手が
 そっと包む

 今日はいつもより
 雰囲気が柔らかい気がする

 「………倉庫で倒れてた
 …無理には聞き出さない
 今は那香に
 ただ元気になって欲しい」

 珪の精一杯の
 言葉だったんだろう

 声の強さと脆さから
 そう思った

 小さく頷く