待ちきれずに噛りつくと
 パキ、と音がして
 口に甘さが広がる

 「…―――!!」

 「美味いか?」

 ぶんぶんと頭を縦に振る

 「良かった。」

 珪が少しだけ笑った気がした

 「…理科係のごほうび。」

 そう言った後、
 次の授業が始まる
 チャイムが鳴り響く

 「やばっ」

 急いで準備室の扉を開けた

 「ありがと、那香」

 …那香?
 珪が…呼んだ?

 「へぁ…うん。」

 私は取り敢えず手を振って
 理科室を出た

 珪が初めて那香って呼んだ。

 何とも言えない嬉しさと
 チョコの甘さに
 自然と笑顔で走り出した