「一度くらい、振り返ってよね……」 そう呟いてみたけど、やっぱり振り返られちゃ困る。 自分の意志とは関係なく、頬に涙が伝っていたから。 ≪まもなくホームに11時発XX行きの電車が参ります。白線の内側まで~――……≫ 大知の乗る電車がもうすぐやってくる。 苦しくて息が止まりそうになる。 切なくて 悲しくて 寂しくて 不安で。