ところが、そんなささやかな暮らしも長くは続かなかった。

慎吾が病気で38歳の若さで亡くなるのだった。

すると、慎吾の奥さんから葬式に出席して欲しいと手紙が届くのだった。

奥さんは愛人の幸恵の事をずっと知っていたのだった。

同じ極道の男を愛した女として、幸恵にも是非お葬式でお線香をあげてやって下さいと、手紙には書かれてあった。

幸恵は奥さんの気持ちが素直に嬉しく、最愛の人のお葬式に出席して遺影に手を合わせるのだった…。

・・・・・・・・・


それから三年後に自分の父親もこの世を去り、幸恵は父親の後を継ぎ女組長として忙しい日々を過ごしていて、ふと気が着けば慎吾が亡くなってそろそろ十年の月日が過ぎようとしていた。

そんなある日、幸恵の所へ慎吾の親友だと名乗る男がやって来た。

そして、幸恵に一枚の手紙と小さな包みを手渡すのだった。

包みの中身はダイヤモンドの指輪で、セピア色に変色した手紙には慎吾の直筆でこんな事が書かれてあった。