「海斗…?」


「どうも、初めまして。

今日から新しく越してきた『七生 海斗』です。


あっ、お久しぶりかな…」


私の目の前には5年振りの海斗。

これは夢?

現実?


どっち…


「あの、誰ですか?」


ついつい確認してしまった。

海斗らしき人は私の質問を聞いてクスクス笑っている。


「5年前までマンションに住んでいた者です」


もしかして本当に

「海斗、なの?」


「そ、海斗だよ。

久し振りだね。
元気だった?」



何が起こっているのかいまだに状況が飲み込めない。

けどこれだけは絶対に確かなこと。


「帰ってきたの?」


「遅くなったけど…帰ってきたんだ」


「これからは、ずっと一緒?」


「ずっと一緒だよ」



私は海斗の存在を確かめるかのように海斗のスーツをギュッと強く握った。


「海斗」


「ん?どうした」


「海斗」


「どうした?」


「海斗ー」


名前を呼ぶと返ってくる。



「海斗、海斗…

ずっとずっと会いたかったよ。
寂しかったよー」


「ごめんね、寂しい思いをさせて。
これからはずっとずっと一緒だから」


海斗はそう言って私をギュッと強く抱き締めてくれた。