海斗と手を繋いで歩いている。


あれ?この夢…

前にもどこかで見た事がある。




笑っている私と海斗。

私の右手はしっかり握られている。

いつものように。


ドン―――



人にぶつかってしまった。

強く握っていたのに離れてしまった“私達の手”。



イヤ、イヤ。

放さないで、どこにも行かないで。



海斗は左手を出してくれるけど

私の右手は海斗の左手ではなく空気しかつかめない。




どんどん小さくなっていく海斗。


海斗、海斗――――…




――――――――――――――
――――――
――




「雛那ちゃん、雛那ちゃん」


私はゆっくり目を開ける。

夢か現実か分からない状態。


「雛那ちゃん?
大丈夫、なんだかうなされていたよ」


ここにいるのは夢ではなくて本物?


「海斗?」


「そうだよ…
怖い夢見たの?」


「うぅ…」


私は海斗の顔を見たら泣いてしまった。


「海斗ー…怖かった、どっかに行っちゃうかと思ったー」


「大丈夫、俺はちゃんとここにいるから」



海斗は優しく背中をポンポンってやってくれた。


海斗の近くは落ち着く。





ずっとずっと近くにいたい。