「あ!言い忘れていました!」


カイナンが紙を見て慌てたように言う。



「なんだ?」



ルーファスが片方の眉を上げて聞く。



「はい、老人の話では女の子を連れて現れた時、ひどいケガをしていたそうです」



「ひどいケガか……」


「仲間割れしたのでしょうか……」


ガラムが誰ともなしに聞く。



「そうかもしれないな」


ルーファスは、クリスをほぼ王女だと断定していた。



「クリスが王女だとしたら、20歳ですか、絶対に見えないな」


キースが笑う。



「陛下、彼女をどうしましょうか?」



ロイドが聞くと、一斉にルーファスへと視線が集まる。



「城に滞在させて、後見人あるいは結婚相手を見つける方向になるだろうな」



あいつは素直に聞かないだろうな……。



ルーファスの言葉にキースは心の中で思った。