「お夕食までお休みください」


ルーファスたちが行ってしまうとリリアがぼんやりしているクリスに言った。



横になるように手を添えられてしまい、クリスは仕方なく横になった。



あの言い合いをしてからキースを見ていなかった。



クリスから行くことは無理なので、キースが現れるのを待つしかない。



キースに会いたいと思っている自分に戸惑う。



――違う、あんな奴に会いたいなんて思っていない ずっと部屋にいるから退屈でそう思うだけ。



§ § § § § §



街でクリスの祖父と親しい人物を騎士団が見つけ出した。



ルーファスの命令で、クリスの祖父を調べさせていたのだ。



祖父は一度も結婚したことがなく、ある日突然、女の子を連れて来たらしい。



兄弟の孫だが、夜盗にあってこの子だけ助かったと。



そう説明したと、うろ覚えであったが老人は思い出してくれた。



老人はそれ以来、娘を見てはいないがフードの下から珍しいピンク色の巻き毛が見えていたという。



そして時折、高価すぎる装飾品を持ってきては売りお金にしていたらしい。



ルーファスの執務室でロイド、ガラム、キースが、カイナンが読み上げる報告を聞いていた。



「……やはりクリスは王女なのかもしれないな」



今となってはそれを確定づけるものはないが、あの見事なストロベリーブロンドがそうだと告げている。



「どうして、クリスだけを生かし、連れて来たのだろう……」



足を組み、腕を組んでカイナンの報告を聞いていたキースは呟くように言った。