「おい!お前っ!」


女の腰に抱きながら歩く背後から小柄な男が乱暴な口調で呼んだ。


それなのに赤毛の男は振り向かない。


どこへ向かっているのか路地へ歩いている。


ぼやぼやしていると複雑な路地に赤毛の男を見失いそうだった。


小柄な男は急いで追った。


いたっ!


赤毛の男は立ち止り、女の顔に自分の顔を寄せていた。


きれいな整った横顔が目に入る。


「おいっ!お前!」


再度、小柄な男は大声で呼んだ。


「ぁ?もしかして俺を呼んだのか?」


ゆっくりと振り向いた顔は不機嫌そうだ。