「俺……を離せっ!」


取り押さえられた騎士から逃れようと身体を動かす。



「怪しい奴!俺は隊長に知らせてくる!」



「ここは俺に任せておけ!お前は報告に行け!」


クリスを押さえつけていた騎士が言うと、もう一人の騎士は怪しい侵入者を捕まえた事を報告しに走った。



「俺を離……せ……っ……は……ぁ……」


クリスは荒い息を吐く。


押さえつけられ呼吸が苦しい。



さすがに取り押さえている騎士もおかしいと感じたが、報告をしに行った同僚が戻るまで手を緩めなかった。



§ § § § § §



キースとルーファスは鍛錬所へ行く所だった。


騎士が慌てたようにこちらへ向かってきた。


「何を慌てている?」


目の前で片膝を着いた騎士にキースは首を傾げて聞く。


「侵入者を発見しました!ただ今、取り押さえ同僚が待機しております」



キースとルーファスは顔を見合わせた。



「侵入者だと?早く案内しろ!」


キースは真剣な眼差しで騎士に告げた。