「は!離せっ!」


抱き上げられたクリスは言葉だけで抵抗する。



身体には力が入らず動かせなかった。



この子は何歳なのかしら?華奢で小柄な身体、サラ様と同じ位の背丈に見える。



「動けないくせに 大人しく眠りなさい」


少し乱暴に寝台の上に横たわらせる。


顔色は青ざめているのに熱がイレーヌまで伝わってくる。


口ほどに回復していないのだろう。


「ガラム様を呼んでくるわ 大人しくしていなさい まあ……動けないと思うけど」


寝台に寝かされた娘は腕を目の上に置きじっとしている。


イレーヌは部屋を出た。



§ § § § § §


ルーファスに呼ばれたキースは執務室にいた。


目の前に座っているルーファスが口元に笑みを浮かべ、楽しそうなのがキースには気に入らない。


国王陛下の前だが、足と腕を組んで窓の外を見ていた。