クリスは午後遅くに目を覚ました。



誰も姿が見えずぼんやりする頭で自分がどこにいて何をしていたのか考える。



豪華すぎる部屋にまだ夢を見ているのかとおもったりする。



「あっ!」



腕の怪我を思い出し、ついでにあの男も思い出す。



あの男が連れて来た……?



クリスは起き上がろうとした。



だが、身体は思うように動かず腕にも力が入らない。



寝台はこのうえなくふかふかと寝心地が良い。



こんな寝台は初めてだ。



こんな所、俺にはふさわしくない。



クリスは無理矢理身体を起こし床に足をつけた。



身体を起こしただけで眩暈を覚えて少しの間、動けなかった。



再び眩暈に襲われるのを覚悟で、おそるおそる目を開けてみる。



見たこともない調度品の数々。


美しい形で艶のある布が張ってあるクリーム色のソファー。


大きな窓から入る明るい日差し。


目に映る何もかもが初めて見るものだった。