「すご……い……」


爺さんも強かったがこの男は強い。


武器を持たずにあっという間に大男をのしてしまった。



「大丈夫か!?」


赤毛の男が目の前にやって来た。


視線は切られた外套の下に見える傷を見ている。


「たいしたことはない」


本当にかすり傷だ。


「ちょっと見せろ」


先ほどのにやけた顔も今は真剣な眼差しだ。


「それより男たち、逃げていくぞ?」


ふらつきながら逃げていく姿を目で追う。


この男の背が高いせいか威圧感があり俺は一歩後ろに引いた。