とうとう婚礼の儀の当日になってしまった。



早くから目を覚ましてしまったクリスだが、リリアが来ても眠ったふりをした。



「クリスティアナ様、おはようございます 気持ちの良い朝ですわ」



天蓋の薄布を開けるとクリスはやっと身体を起こした。



身体を起こすと、かすかな吐き気を感じた。



手を口元にやると、リリアが心配そうに見る。



「ご気分が悪いのですか?」



「そうだよ 最悪だよ とてもじゃないけれど気持ちが良い朝だなんて思えない」



クリスはぶっきらぼうに言い捨てると、寝台を降りた。



胃がムカムカしているのは、精神的なものだろう。



居間に向かうクリスの後姿を見てリリアはため息を吐いた。



よほど、あの方とのご結婚が嫌なんだわ……。