「機嫌が悪いんだな?」



「もう向こうへ行ってくれ」



俺はキースの顔を見ていられなくてそっぽを向く。



そうすると、キースは何も言わずに部屋を出て行った。




§ § § § § §



数日経つとガラムの所見通り、クリスの熱は下がり腕の痛みも治まった。



寝台から出ることも許され、クリスはよく庭に出て歩き回った。



仲良くなったロイと時々、散歩をしたりする。



無邪気の中にも時々、ドキッとさせるような大人の発言をするロイにクリスは戸惑う。



「ロイは俺より年上みたいだな」



勉強も出来て、世の中のことを良く知っている。



俺がそう言うと、ロイは国王陛下そっくりの顔でにっこり笑う。



「僕なんかまだまだです、外にはなかなか出られないし、世の中の事をもっとよく知りたいんです」



「ほら、その発言が大人なんだよ、俺なんか山にいた時は世の中のことなんて何も考えなかった」



そんなことを話していると、廊下で侍女たちに出くわした。