キースたち先鋭の騎士たちが今回の討伐には時間がかかったと聞いた。



数人の山賊に逃げられたという事は強いに違いない。



そんな男たちがこの小屋にいると思うと、眉間から汗が流れ、心臓が今までないほどにバクバクしている。



クリスは剣をギュッと握りしめた。



古い木の扉を静かに開けるつもりだったのに、ギギギィ……と音がしてしまった。



意を決して中へ入ると誰もいなかった。



だが、部屋の中は荒らされていた。



「ひどい……」



粗末ながらも食事をする木のテーブルは土足で上がったような足跡。



棚と言う棚の引き出しは開けられて中身が飛び出していた。



一番荒らされていたのは台所で、食料庫として長期間長持ちする食料は空っぽになっていた。



その周りにカスや皮が散らばっている。



奥の自分の部屋の扉も開け放たれていて、クリスは足を踏み入れた。



そこも見るに堪えないほど、荒らされていた。