あの日、咲下は夜明けとともに、どこかに消えてしまった。 いま、どこで何をしているのか。 俺には何ひとつわからない。 咲下がいなくなったあの日から、1ヶ月が過ぎようとしている。 彼女はもう、ここに戻るつもりはないのかもしれない。 もう二度と、逢うつもりはないのかもしれない。 それでも俺は、彼女を待っていた。 “私の願いは、橘くんの幸せです” 彼女の残した最後の言葉を見たとき、俺は胸がいっぱいになった。