陽太はあたしの体を離し、あたしたちは笑顔で別れた。



あたしは改札を通り、階段を上って駅のホームへと向かう。



涙が溢れてくる。



何度拭っても、涙を止められない。



「……うっ……うぅっ……っく……」



制服のポケットから取り出した星砂のキーホルダーを、ぎゅっと握りしめる。



駅のホームに立ちつくすあたしは、空を見上げた。



涙で空が滲んで見える。



陽太……ごめん……。



最後まで嘘をついて、ごめんなさい。



陽太との約束は、守れない。



あたしはもう橘くんには逢えないんだ。



逢いたくても、もう逢う方法がないの。



彼の連絡先も、家の住所も何も知らない。



転校前の学校に行っても、前の学校の卒業式はもう数日前に終わってる。



あたしはもう、橘くんを見つけられない。



どこにいるかもわからない。



あたしはもう二度と、橘くんには逢えないんだ。



約束を守れなくて……ごめんね。






この空はどこまでも繋がっているのに



同じ空の下で



今日を生きているのに



どんなに想っても



あたしはもう君のことを見つけられない――。