自転車を走らせながら、俺は思い出していた。 咲下と過ごした時間を。 きっと、あの日からだった。 咲下との時間は、あの朝から始まった。 『バス乗り遅れちゃって……』 『後ろ乗れば?』 それまで俺は、緊張してあまり話しかけられなくて。 “おはよ”とか“また明日な”とか、そんな挨拶くらいしか出来なかった。 勇気を出して咲下に話しかけたあの朝、 自転車の後ろに咲下を乗せて走りながら見た朝の景色は、 いつもと違って、何もかもが輝いて見えた。 青い空が綺麗だった。