番頭を従え幸枝はおかっさまの元へ

「ごめんくださいませ…花幸でございます、ご注文の品お持ちいたしました、おかっさまいらっしゃいますか?」

「はーい!あら、その声はお幸さんじゃないの、まあ珍しか、元気やったとね?随分ご無沙汰じゃあなかね…たまには顔出してくれんね」

「ご無沙汰して申し訳ありません…元気でやっております、この度はたくさんのご注文感謝します」

「なんね?そげん改まって…でもよく揃えたね、あたしも時期外れやしそげん香りねきつか花ば料理と…って考えたとけど遣いの人がちょっと怖いお兄さん達やったけん断りきらんやったとよ」

「いいえ…それは構いませんが、時期が時期ですのであまり良いものではないんですよ…このくらいで大丈夫でしょうか」

「いいわ!上等じゃななかね」

「それではお部屋の方へ生けさせていただきますね、どの部屋でしょう」

「京の間よ、わかるわよね?」

「はい、わかります、では番頭さんお願いします」

お客様が来る前に仕上げなければならない

二人は早速仕事に取り掛かった