「……アゼル」


誰かの名前を呟いて、リオルは首から掛けている二つのペンダントを取り出した。

一つはヘリオドールの石が、そしてもう一つにはソーダライトの石が埋め込まれている。
意識を手放しても依然握り締めていた、ソーダライトのペンダント。

深く、けれどそれはとても美しい、青を放っている。


「……ごめん、ごめんね」


それは掠れた声だった。
けれど、涙が零れ落ちることはなく、かわりに張り裂けてしまうほどの鋭い痛みが、胸の中を襲う。


〝罪悪感〟という、ひどい痛みに襲われる。


「私のせいで……」


( 俺が囮(おとり)になるよ。 だから、早く逃げて )

脳裏に響く、〝彼〟の切なげな声。


( ―――― )


鮮明に蘇る、〝彼〟の、最後の頬笑み。


そして全ては、銃声と共に、一瞬にして消された。