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芹霞が口きいてくんねえ。


目すらあわせてくんねえ。


他の奴らには笑いかけるのによ、俺には無視だ。完全無視。


昔、芹霞の機嫌が直るまで丸二週間かかった。


今の俺は、昔とは状況が違う。


芹霞が好きだと、欲しいと自覚してしまった今の俺は、心が離れ離れになった二週間なんて、本当に耐えられねえ。


だって今まで散々我慢してきたんだぜ?


玲が付きっ切りの二ヶ月間。


なけなしの許容量で必死に耐え忍び。


短気なこの俺が、芹霞の退院をひたすら心待ちにして。


大嫌いな掃除までして、芹霞迎える綺麗な環境整えて。


そこまでの楽しみを、日付が変わる直前に緋狭姉に邪魔され、


2人きりのいい処で、寸止め喰らって。


偶然手にしたスケスケで、芹霞も櫂もこの家で手当てできたのに。


――もう口きかないッ!!!


それはねえだろう?


すげえイライラする。


今までの俺なら、すぐ香水女に走っていたけれど、ここには居ねえし。


というか、居たとしても抱く気も起きねえし。


このままじゃ不味いって、本気に。


男としても、俺としても。


俺、泣きそうだ。


芹霞以外は、皆胡乱な眼差しでちらちら俺を見るし。


何か声かけられたけど、何言われたか覚えていねえ。


玲が執拗に返事を求めるから、返事は渋々くれてやったけど、内容は知らねえ。


芹霞は依然、俺に背を向けたままだし。