喉元に食い込むように力が込められる指先は。


いつか私が、操られた煌の馬鹿力を彷彿とさせ。


否――

そんな力では比較にならない程の力で私を締め上げる。


私の足が宙を浮く。



ああ、私がもう少し体格がよければ。


こんなに簡単に抑え込まれずにすんだのか。


闘いの従事者としては、致命的な筋肉のつきにくい身体。


耐性を高めるためにと飲み込んできた毒や薬品の数々は、馬鹿蜜柑とは反対に私の成長を止めてしまい。


だから、時間をかけずに即座に勝負がつく、敵の数が多ければ多いほど有利な、戦闘方法を得意としてきた私。


先天的な肉体の弱点を補填出来る程の技術力の成長は、その限度は……経験を積めば積む程、非情になればなる程に未知数になっていくから。


しかし私の操る裂岩糸は封じられ。


私は、私の弱点と向かい合って闘うしか術がなく。


私の筋力では、男に敵わない。



男なのに。


同じ男だというのに。


もっと私が男でありさえすれば。


もっと強い男でありさえすれば。



男を棄てた私が、こんなに男を願うとは何という皮肉。



男は私の鬘を毟り取った。



私の――


永らく伸ばしていた黒髪が上半身に降り注ぐ。