残り時間1分にさしかかった時、ツツジは優に背を向けて橋を渡る。

「ど…どこ行くんだよ…!」         行ってしまいそうなツツジを優は慌てて引き止めようとするが、橋より先は神の力で通れないようにしてある。
最後にツツジは優しく笑って振り返る。

「僕…何だかこの先に行かなくちゃいけない気がする。」
「ツツジ…!」

進みたくても進めない優が焦りながらツツジを呼ぶ。

「お前っ…!まだ死なねぇよな!?」
「…わからない。」
「ぜってえ死ぬなよな!絶対二人で長生きするから!」

そういわれると、ツツジはふっと笑って歩いて行った。

「うん!絶対枯れないから!」

ツツジが霧の向こうに消えて行ったと同時に、私達は優を人間界に連れ戻した。


………………

優が目を覚ましてから、私はずっと優を見守っていた。
最初はくじけて情けない姿が多かったが、それも段々ふっ切れていった。
彼は多分、ツツジの事を一生忘れないだろう。
優の中では、ツツジは絶対枯れない。
なぜなら、二人はそう約束したから。

ツツジの死は悲しかったろうな。
優の様子を真横で見ていた私は、何となく申し訳ない気分だった。
給料目当てに仕事を続けている私だが、それでも心が痛む光景だ。
優の中ではツツジはずっと消えないが、彼もこのことは長く引きずるだろう。
-しかし、君は強い子だ。私も当分見守ろう。だから、
「頑張れよ、優」