ポロポロと涙を零しているツツジを見て、優が慌てて言う。

「そんなふうに泣くんじゃねぇよ、もう会えないみたいだろうが。」
「…そうだな。」

涙を拭きながらツツジが笑う。
感動だと思いながら時計を見る。
あと2分もすればここに居る時間は切れてしまう…。

「でも、本当に死んだ時は、悲しまずにな、でもって、忘れないでね。」

そうツツジが微笑みかけたとき、周囲の情景が一変し、私はつい呟いてしまった。

「奇跡だ…!」

例え咲いても少ししか咲かない花が、今、三途の川を埋め尽くすまで咲いている。
まさに奇跡だ。