まだ優は来ていないらしく、ツツジが一人ポツンと川の前で立っている。
薄くなったツツジの茶髪以外、この世界は何の色もなかった。

「優君…来ませんね。」
「もうちょっと待て。」

ツツジに見えない所に隠れながら様子を見る。
すると、数十秒経ってから優がこちらに歩いて来た。

「!ツツジ…?」
「優!」

二人が姿を確認しあうと、互いに近づき合う。

「お前、意識不明になったって?」
「うん…。意外と怖いな、死ぬ事って。」
「サラっとそういう事言うなって。本当に死んだらどうすんだよ。」
「…嫌だな。」

本当はもう死んでるのだが。

「僕…もっと生きたい。もっと色んな人と話したかった。」

悔しげに言うと、ツツジは堪えているのか上を見上げる。

「でも、一人ぼっちじゃないのは、よかったなって思う。ユウが居たからさ!」
「そりゃ、俺も同じだ。」
「だろうね、でも多分…僕はユウよりは生きられない。…なぁ、ユウ。」
「?」
「僕が死んでも、忘れないでくれるか?」
「…!…当たり前だろうが。」

それを聞くと、ツツジは微笑みながらも涙を零した。

「よかった…ありがとう…。」