恋ノ神


そのあと何か話してから、優は部屋を出て行った。
私の横を彼が通った時、私は思わず気配を消すのを忘れそうになる。
彼が出て行った後、私は気配をそのままにして病室に入った。

「こんにちは、神様!」
「人前でいきなりキスなんて・・・何があったんだ。」
「あ、見てたの?・・・へへっ」

私の質問にツツジが照れくさそうに言う。

「ユウが助けてくれたんだ。」
「助けた?誰から。」
「あいつらから。」

話を聞くと、ツツジが病室を出た時に彼女の父親とその現在の彼女がここを訪れたらしい。
それで、連れ戻されそうな所を優が通りかかって助けてくれたらしい。

「そりゃ、何ともロマンチックだねぇ。」
「ユウカッコよかった!」
「はは・・・良かったな。」

どうでも良い話ということがばれないように喜んだ顔をする。

「ねぇ。」
「?」
「神様は好きな人とかっていないのか?」
「・・・人はないな。神同士の恋愛なら聞くこともあるが。」
「神様はいるの?」
「・・・いないな。私は恋を叶えるのが仕事だ。自分が恋をしてちゃ仕事に支障が出る。」
「・・・そっか。」

微笑むように言うと、次にそれと反対の悲しそうな顔をした。