恋ノ神


「良かった・・・。」
「優が悲しまないと思ったのか?」
「・・・そう言うわけでもないけど・・・不安で。」

そう言う気持も分からない事はない。
先日はツツジと優が一緒にいるところを見られて大分大変な目に遭ったらしい。
たぶん、それでツツジは嫌われたと思っているのだろう。

・・・・・・・

どうしようか。
私は懸命に悩んでいた。
ハディスにはできるだけ相談してみたが、やはり生かす事はできない。
ツツジの寿命を延ばすことが出来ても、たったの一時間しか延ばすことが出来ない。
どっちにしろ、ツツジはその日以内に死んでしまう。
三途の川を渡ったらもう魂は返ることが出来ない。
・・・・あ。
ある用語を思い出し、もう一度その言葉を繰り返してみる。
三途の川・・・。
何か閃いたような気がしたが、それは直感だったのか何なのかも分からず「まあいいか」と流してしまった。

・・・・・・・・

次の日に病院を見に行ってみると、ツツジの部屋には優がいた。
何か深刻な事を話しているらしく、気配を消して病室に寄ってみた。
次に様子を見るために部屋の中を覗いた時・・・
ツツジと優の唇が重なっていた。

(うわあ・・・!)

自分が叶えたわけでもない両想いに驚いたことは無いが、いきなりの事過ぎて大口を開けてしまう。