恋ノ神


神は絶対に人に本性を教えてはいけない。
そのルールにしたがい、私は今日は透明のまま仕事をする事にした。
人間の姿のままで何も知られないのならいいが、もし人に見える状態で正体がばれたら、給料が大幅に下がる。

それだけは絶対にゴメンだぁぁ!

給料を何よりも大切にする私は、ルールに違反すまいと行動する。
まずは瀧太郎に近づいた。

「ははっ、だよなー」
「この連ドラ最近人気なんだってよ。今度DVD出るんだってさ!」

一つの机に4人ほどで集まりながら、瀧太郎は陽気に話している。
さすがに人が大勢いる中で彼を操るのは難しいと思い、ひとまず放課後まで待つことにした。

・・・・・・・

放課後になると、私は瀧太郎が友達と分かれる機会を待った。
少し難しい事を想定していたが、以外にも校内で別れ、瀧太郎は一人でカバンを片付けた。
これはチャーンスッ!

小さくガッツポーズをとり、そのまま瀧太郎に近づいた。
立ち止まったのを見計らって、瀧太郎の頭に念を送る。
内容はこうだ。

『蒼に会いに、図書室に行ってみよう。』