恋ノ神


瀧太郎のほうは、悪魔のようなオーラを感じるが、顔は普通より整っているため、少しばかり人気があるのだ。


瀧太郎のほうを見に行ってみると、机の周りに男子が群がっている。
「噂になってるぜ?お前が五十嵐の事好きなんだって?」
「悪いかよ。」
「え?マジで?」
「ああ。どっから情報仕入れたのかしらねぇけど。」
困ったような顔で瀧太郎が言った。

「でもさぁ、この前そいつに話しかけてみて、お前の話してみたんだけどさ、「そんな子知らない。」ってきっぱり言われちまった。」

しめた!
私は重要な情報を手に入れて思わずニヤリとする。
知らない者との出会いは、知っている者との出会いよりも好感度が高いのだ。

この瞬間、私の頭の中に作戦が早速練られる。
それはこうだ。

[まず、私は瀧太郎に旧校舎に行くように念じ、図書室に行かせる。
勿論、そこには普段蒼以外誰もいないから、瀧太郎と2人っきり。
そして、積まれている本などを手当たり次第散らかし、それに気付いた蒼は本を片付けようとする。
それを見て、瀧太郎もすかさず手伝う。
蒼もそれに惹かれるかもしてない。]

我ながら完璧だ。
自己満足しながら、私は実行に移した。