公園では、ベンチに座り友紀が泣いていた。
大丈夫。彼は戻って来るよ。
聞こえないが励ますように言ってやる。
すると、いいタイミングに彼が戻って来た。
白い光に包まれ、本当の人間の体で戻って来たのだ。光が消えると、幸は自分でも驚いているらしく、何度も手を見る。
友紀が目に入ったらしく、幸はうつむいている友紀の頭をそっと撫でてやった。
驚いて顔を上げた友紀は前にいる幸を目にして目を擦る。

「幸さん…?」
「ただいま」

生きてるという証拠というように、幸は友紀に分かるようにして頭を撫でる。
どうしてなどということは聞かず、友紀は嬉しさのあまりに幸に飛び付く。

「良かった…本当に良かった…」
「ハッ…ハディス!?」

私の横では涙もろいハディスがハンカチで顔を拭う。(わざわざ冥界から来たらしい。)
後から到着した阿修羅も腕を組んで言う。

「これから先、あいつには勝利運が付きまとうみたいだせ。」

なるほど、と私も感心する。友紀の不運もどうやらここまでのようだ。

「意外と、その運は幸が運んで来たのかもな。」

わたしがそう言うと、後の二人もコクンとうなづいた。

すると、調度いい時に友紀のキスシーンが目に入った。その彼女の手に握られた小さなチョコレートを見て、私は「今日は本当にいい日だ」と思う。


「今日はバレンタインだったな」