「仕方なかったんでしょ?あの時は。でも、今回はチャンスがあるんだ。叶えてやってよ。」
ツツジの身体がどんどん透明になる。
多分、もうすぐ帰る時間なのだろう。彼女が消える前に、私は急いで言う。
「何で君はそう思えるんだ」
それは…とツツジは消える寸前に言った。
「僕の時みたいに、悲しませたくないから…」
言い終わると同時に、ツツジは見えなくなった。
しかし、彼女のお陰で何となく軽くなった気がする。
「ありがとよ」
早速実行に移す事を試みる。
しかし、お堂の中から外を見ると、もう昼になっている。つまり、幸にあと2日しか下界にいられないと言ってから2日目になっていたのだ。
「しまった!」
幽霊が黄泉の国に行く時間は私は分からない。
もしかしたらもう消えているかも知れない。焦りながら幸の思考波を捜すと、どうやらまだいなくなっていないらしい。
-よかった。
ホッとした私は急いで星に念を送り、願いを口にする。
が、それと同時だった。
幸が下界から消えたのは。
…幸side…
これまでか。
俺は自分でも透けて見える自分の身体を見た。
あの神の言った通り、俺は今日で消えるみたいだ。
ここまで悪化すると、いくら友紀でも、触れることは出来ないだろうな。
俺がこの世界に名残惜しさを感じるのは不思議だ。死ぬなら死ぬで、もう一目も友紀に会いたくなかった。
無駄にいて、あの子を悲しませたくなかった。
どうか、俺を捜さないでくれよ、友紀。


