誰もいない路地裏にシーラは逃げた。




帰るのが遅くなって…。弟は隣で泣いていた。
「泣かないでアラン…。私が守るから。」





影が指す…。






「見~つけた。お嬢ちゃん。」





弟と引き離される。
「嫌!!放して!誰か助けて!」






人さらいは容赦なく殴る。
「お姉ちゃんを離せ!」




人さらいに体当たりする。




「アラン!」



悲鳴と強ばった顔がナイフに反射する。






石畳は赤に染まる。






シーラはアランを揺さぶる。
「お…。お姉ちゃん…。痛いよ…。」




頭の上に鈍い光…。






キン!と冷たい音がした。降りかえるとフードをかぶった人…。手には銀の輝き。





シャランと蒼い十字架が見えた。




「神父様?」



降りかえらずに
「私はアレク…。」






人さらいは逃げた。
アランはアレクに抱えられ病院に…。




「ありがとうございました…。神父様…。」




「いや…。」
神父は去り…。アランは…。次の日、力尽きた。

「アラン…。アラン…。」姉は泣き、還らぬ弟は白い肌を濡らす。