赤々と染め上げられた空。
赤い輝きが見えた。
炎に引き寄せられる蛾のように黒い蝶が真っ直ぐ飛んでくる。






横に雷が走る。






「!」






剣と剣がぶつかる。
炎と雷が飛び散った。
高速で飛び回る二つの光は空に激しく音を響かせた。






「神の使い…。なんて速さ。」






「…。」






「あの方には指一本足りとも触れさせない。」






大振り剣に炎が灯る。
轟音とともに炎が飛んでくる。






「!」
黒い翼は瞬時に避けるも後ろの一団が消し炭になる。






「ぎゃぁぁぁ!」
悪魔の悲鳴が不気味に響く。





光の矢が次々に放たれた。
雷で一掃する。






そのまま、炎を突破し雷が千の槍のように降り注ぐ。






白い一団が消えた。






邪魔者はいらない。ここにはもう二人だけ。
遥か下に見えるのは地上の白い天使の宮。






剣と剣が音をたて交わる。
風と光しかない。
月は失せ、まだ太陽もない。






ここには二人だけ。
交わりながら気づいた。





あの瞳は…。






それでも憎しみは癒えない。内側から込み上げる。
雷が走る。






交わりながら、あの瞳は綺麗だった。
わかる。わかる…。
どうしてそんなに真っ直ぐなの?






どうしてそんなに真っ直ぐ見れるの?






私は…。私は…。こんなにも変わってしまった。
後悔はしない。






それでもあの瞳は明るく、忘れられない。
あぁ…。わかった。






交わりながらわかる。






あなただと…。
綺麗だった。綺麗なあの瞳は変わらない。
真っ直ぐ、いつでも正しく前を見ているのね。






誰にも止められない。
この内側から込み上げるものは…。





あなたは…。何を思うの?