太古の昔に地界と天界に境界線が造られ、契約の元に侵入してはならない。






地上…。人間界に入ることも。






遥か昔に天使は悪魔になった。






地上は戦場となり、魔王は地界へと封印された。





魂は時に天界から地上を駆ける。






切れ端が地上に落ちていく。聖人…。






人があるべき生きをするように。道しるべ。






地界から手出し出来ないように。






人は不安定な生き物、故に選ぶことが出来る。






彼女は悪魔の手を取った。愛するが為に…。






内に宿る力を知らず、人として生まれ。
紅い天使が開花を導くはずだった。






知らずにいつの間にか愛しあい。
地上の歪み…。混沌の渦に飲み込まれ。
歪みは憎しみへ変わった。






紅い天使は天命を成せず。黒い天使は悪魔の加護を受ける。






神を愛するが為に…。魔王は地界へ落ち。






黒い天使もまた愛するが為に…。この雷を落とす。






全てを知るが為に…。紅い天使は剣を取る。






「αからωまで…。」






ポツリと溢した。顔をあげ瞳は輝き前を見据える。






黒い黒い一軍の中に咲く、黒い翼の…。
「イリス。」






紅い天使は剣を掲げ空を赤々と染め上げる。






黒い一軍が消える。






雷が横に飛んでくる。
サーベルを抜いた黒い天使が迎え打つ。






神は時に残酷な天命をくだす。






天空は光る。人間は何事かと見上げる。それはキラキラと輝き破裂する。





地上の白い天使は神に祈る。
「主よ。どうかお守りください。」






黒い天使と紅い天使の刃がぶつかる。






止めることは出来ない。憎しみが消えない。大切なものは戻らない。時は戻らない。
愛するが為に…。刃は交わる。