ゴーンゴーン…。時を告げる鐘が鳴り響く。






一人。仮面のエクソシストが銀の十字架…。先端が尖った杭を持ち黒い翼に最後の一降りをしようと振り上げた。






消滅もいいかもしれない…。そう思った。
「本当にそれでいいのか?…。」






濃い冷たい雨のにおい…。






「うあぁぁお!!」






体をかきむしりながら黒い仮面が倒れる。






黒い雨は床に広がり、結界が消えて行く。床を蝕み側にいたエクソシストが倒れていく。






イリスは解放された。待ち望んだこの時を…。復讐の雷が落ちる。
赤いローブの大司教達に降り注ぐ、怒りの剣…。





「うぉぉぉ!」
弾丸のように飛び込んで行くフランチェスコ。






「止めろ!フランチェスコー!」






雷が貫く。






蒼い十字架の神父は少年教皇の前に…。






「早く!聖下を…。」






白い天使は動かない。






「聖下!」
カトリーヌは立たせようと必死だった。






黒い雲が大聖堂に広がり死の宣告がされた。






黒い翼が広がり最後の力で雷を降らせ大聖堂の屋根が破壊さた。瓦礫が落ちる。






カトリーヌとアレクセイが白い天使に覆い被さる。






ガラガラと音をたて大聖堂は半壊していく。






ただ一人。ブルーの瞳は金色の月を見ていた。






黒い翼が力尽き、抱き抱えられるように黒い霧が包み込み空に消えるのを…。






瓦礫の下からアレクセイ達は這い出した。
「聖下!御無事ですか?!」






「聖下?」






何も言わない天使を心配そうに見つめる。青い瞳は空を見ていた。






「最後に私に何か言った…。でもなんと言ったかわからなかった。」






泣きそうな天使を優しく抱き締める。