その日の大聖堂は異様な空気がしていた。






立ち入り禁止。






大司教クラスの印。赤いローブが集まり。エクソシストがいる。






私は…。何でここにいるの?とにかく戻らないとシスターエトワールに怒られる。ばれないように帰らないと…。






少女は大きな扉から去った。






代わりに入って来たのは白い布を被された何か…。





悪魔避けの黒い仮面を付けたエクソシスト。






大聖堂床には大きく複雑な結界。






床に大きな十字架。






異様な光景の中…。白い天使が入って来た。蒼い十字架の騎士が横に並ぶ。






布がはがされ、黒い翼が現れた。
閉じられた目は一瞬明らかに白い天使を見つめた…。






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白い天使は明らかに迷っていた。






赤いローブの纏う賢人に「民をお守りください。」と…。






表向き…。だが白い天使は裏の言葉を知っていた。
それでもここにいなければならない。






ただの白い人形と同じ。存在することこそが大事な仕事。聖務。






わかっていたはずだった。それでも間違いではないかと思っていても自分の意見は通らない。伝わらない。






「僕は…。私は…。」






カトリーヌはそばで見ていた。小さな天使はいつも…。苦しそうにしている。





蒼い十字架もそれを感じていた。






仮面を付けたエクソシストが入ってくる。






「私は…。」






それでも、見届けなくてはいけない。たとえ間違いだとしても…。






布から現れた黒い翼の…金色の月が一瞬こちらを見つめていた。
僕は…私は…それを受け止めよう。
あるがままに…。
気のせいかもしれない、彼女はうっすら微笑んだように感じた。