私は…。何をしてるの?何を探してるの?






大きな十字架…。大きな翼の…。黒い天使。






ゆっくり近づいた。






首に小さな痛みに快楽…。意識は闇の中。
最後に見たのは…。金色の月に…。赤い唇。






そして声。
「シーラ…。」






意識は闇の世界に溶けた…。






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牙がぷつっとささり私の渇いた唇を潤した。シーラ…。私のかわいい聖女。





体力が少しずつ回復していく。それでも間に合わないくらいのダメージを受けていた。






このまま魂を奪うか…。
それは…。できなかった。





いつからだったか…。私は…。何かを待っている。何かを求めて闇を進む。
堕ちいく闇は私を救ってくれた。






私にはしなければならない事がある。






「彼の為に…。私の為に…。」






湧き出るものはもはや止められない。






怒りは雷。






舞い散る花弁は私自身の血。






聖女を抱いて黒い翼の天使は瞳に闇を灯す。






「終わりにしましょう。」






赤い唇が首から離れていく…。






塔に響く鐘の音。






朝日が射し込んできた。





刑の執行を告げる鐘。






十字架の天使は悪魔に成り果て、大聖堂の床に転がる…。






結界はさらに強固なものに。






金の瞳は固く閉じられたまま。






黒い翼は縛されん。






白い衣の衣擦れの音。






純白の天使が大聖堂に入る。横にたたずむは蒼い十字架の守り人。






堅い顔は何を見る?






神は時に残酷に…。時を告げる。