翼の音がする…。


夜道には気をつけよ…。



影が揺れている。
短い髪のハゲかけた神父は走る。




カラスが鳴いて…。




走り込んだ先は路地裏…。





笑い声が聞こえた気がする。





「何処へ行くの?ぺトロ・ニコラス…。」



「ひっ…。」





艶やかな赤い唇が引き上がる。



腰が抜けつつ、十字架を掲げて詠唱する…。





「その程度?」



ニッコリ笑うたび悪寒が…。




「この魔女め…。我々に何ようだ!」




笑う魔女はこう言った。




「復讐…。お前らは…。教会の気狂いども…。その血肉…。」




わななく魔女に翼がはえる。





「貴様?!悪魔め!消え去れ…。」





十字架に強力な詠唱をする。





「消えろ…。」






雷が十字架を粉砕する。





赤い唇は神父の首に…。





「サヨナラ…。ぺトロ…。」



絶叫が路地裏にこだまする。見ていたのはカラスのみ。





カラスは魂のない瞳をつつく。





金色の瞳に赤い唇。魔女は翼を隠して暗闇に消えた。