「いけません…。教皇聖下…。水遊びなんて…。」






ローマの大教会中庭の大噴水で水浴びをしている。少女…。いや少年がいた。






お付きのものが困りはてる。
「僕は…。私はただ水浴びしてるだけじゃないか。カトリーヌは心配症だなぁ。溺れないよ。」






天使の笑顔とはこの事だ。純白の服に金色の髪が水に濡れて輝く。






ほぅとほっぺを赤く染め、見とれてしまう。
「そうですね。」






笑顔を返す…。ただでさえ堅苦しい生活。若くして教皇になり、聖務をこなしているが大半は大司教達がやっている。
言うなれば教会の人形にされている。





バシャッ!
水の中に姿が隠れた。
「アントニオ!!」






「転んでしまったよ…。」





けろっと笑顔を向ける。心臓がいくらあっても足りない。
「止めてよもう…。あっ!も…。もうしわけありません。教皇聖下…。」





「カトリーヌはいいんだよ。二人だけだし、幼なじみには普通にしててほしい…。」





ますますそんなこと言われたら…。赤くなる。






クスクス…。
「カトリーヌは可愛いいね。」





真っ青ななんでも見透かした…。濃いブルーアイ。青の宝石。昔から変わらない。
変わったのは身分…。
手の届かなく…。
私は神様と結婚した。
アントニオ…。アンは…。教皇に…。
だから…。私が守る。
十字架にかけて。





紫の十字架を握りしめた…。





「カトリーヌ?」
ずぶ濡れの天使を引き上げた。





「聖下。風邪をひきます…。」





「ありがとう。」
首を傾げる天使は金色の十字架を向けた。





「主の祝福を…。」