「おはよ」

「おはよう」


ニコニコ笑う亜理砂だけれどその目はうっすらと赤くなって腫れているみたいだった。


でも、昨日にはなかった清々しさを感じた。


「昨日は、ありがとうございました」


三人(蒼真は若干嫌そうだったけど)で並びながら歩いていると亜理砂が軽く頭を下げた。


「………大したことしてないわ」

「ううん。助けられた――廉くんにも」


そういえば、今回活躍したのはマリモ……廉だった。
あそこまで激昂する様子を見たのは初めてだったが、優しい奴なんだなと思う。


「それで、これ」


亜理砂はごそごそと鞄の中から可愛い袋に入れられているクッキーを取り出した。


「お礼です」


あたしと蒼真、二人に渡す。
蒼真に渡す時に二人の間に火花が散ったように見えたのはきっと気のせい。