「否、そんなんじゃあ……」
「さっきこっそり覗いたけど中々のイケメンねっ」
「まぁ、顔は良い方……」
「はい、お弁当!片付けはお母さんがしておくからね!」
行ってらっしゃい!と背中を押すお母さんにあたしは何とも言えない渋面を作って玄関に戻る。
「………蒼真」
「あ?」
「………なんで機嫌悪いの」
さっきまでは穏やかそうだったのに、今は眉間に皺を一杯に寄せて、不機嫌なオーラを漂わせている。
「恵里」
蒼真は、機嫌悪いままあたしを手招く。そろそろと蒼真に近づくと腕を掴まれて抱き締められた。
「………はぁ」
「……」
あたしを抱き締めてため息?
「やっぱ、あの女、無理」
イライラする、と蒼真は言う。


