ジキルハイド症候群




「分かったわ」


頷いてリビングに引き返す。
その途中で茉里とすれ違う。


「陵南さんと付き合ってるんだ?」

「っ」


ピタリと足が勝手に止まる。茉里は、横目であたしを見ると小さく鼻で笑った。


「あーんなカッコイイ人と付き合えていいなぁー」


感情の欠片も籠っていない茉里の言葉。
あたしは、動かない足を叱咤してリビングに引っ込んだ。


(……情けないわ…)


妹に言い返す事が出来ないなんて。


「はぁ……」


小さくため息をついて鞄を手にすると、痛いくらいの視線を感じた。


「恵ー里ーちゃん」

「お母さん……」

「彼氏が迎えに来てるって?嬉しいわぁ、恵里に頼れる人が出来て」


ニコニコ嬉しそうにお母さんは手を合わせる。