ジキルハイド症候群




ここで言ったってあたし以外は誰も聞いていない。
言わなければならない相手に言わなきゃ意味がない。


「そんなの……言えるわけない」

「じゃあ、ずっとそのままね」


本当に森の中で死ぬことになるかも。


「そうやってまた虐められたい?」


あたしは、制服を指差す。
汚れた制服。
選択しても落ちないかもしれない。


「黙っていても誰も助けてくれないわよ」


冷たい言い方かもしれない。
でも事実だとあたしは思っている。
自分から動かなければ、誰も助けてはくれない。


彼女は、俯いてしばらく黙っていた。
ふと、顔を上げたかと思えばその瞳には強い光が宿っていた。


その光は、あたしには眩しく見えて目を細める。