ジキルハイド症候群




「多分近くに恵里の母親がいるはずだ。」


呼んできてくれ。
そう頼めば廉は、頷いて出ていった。


二人きりになった保健室。


俺は、恵里の頬に手をやり、苦笑する。


「無茶しやがって………」


辛いのに、学校まで来た。


『蒼真まで……とらないで……』


恵里の中で自分の存在がどれほど大きいかが分かった。
こんなにも嬉しいことはない。


あぁ、俺はとられたりはしない。
ずっとずっとお前の側にいるから。


そっと、赤い頬に唇を寄せた。


「………おやすみ」


お疲れ。


もう、痛いのも苦しいのも終りだ。


今からは、今まで受けてきた傷をゆっくりと治していこう――――。


小さく、恵里が微笑んだ気がした。