ジキルハイド症候群




「恵里っ……」


グラリと恵里の体が倒れていく。
抱え込んで覗き込んでみると、恵里は気を失っていた。


言いたいことを全部言ったのだろう。


辛そうに呼吸をしている恵里を障らない程度に抱き締めた。


「………何よ、」


ポツリと妹が呟く。


「今まで何も言わなかったくせに……!」


その声は、弱々しいものだった。


「………蒼馬」

「連れていけ」


恵里を姫抱きに抱え直して妹の横を通り過ぎる。
那祁は、仕方なく妹と共に保健室を後にした。


「廉」

「あぁ」


空いているベッドに寝かせながら、近くに立っていた廉を呼ぶ。
寄り添うように、傍らに座り、額に張り付いた髪を払ってやる。