ジキルハイド症候群




直視出来なくて視線を下げる。


「………茉里、じゃないの」

「あんな女と間違うわけない」


少し不機嫌な声。
茉里の事をこんなに毛嫌いしている人を見たのは初めてだった。


そっと両頬を挟まれて上を向かされる。


「なぁ、俺のものになれよ」

「………」

「妹じゃなく、俺は恵里、お前が好きなんだ」


真剣な眼差しに、嘘には聞こえなかった。
じんわりと体が温かくなるような気がした。


(………でも、口ではなんとでも言える)


真実だったとしても、今までの男達と違っても、偽りでないとは確証できない。
嘘を嘘で隠しているかもしれない。


「………勝手にしたら」

「恵里」

「貴方の言葉が本当だとしてもあたしは信じられない」